怪盗ダイアモンド
Ⅰ.私は怪盗ダイアモンド

★さよなら日常生活




高校の放課後、日当たりがいい手芸部室。私はちょっと早めに来て、作業をしていた。

「よーし、こんなもんかな!」

やっと出来た!裏にしたり表にしたりしながら、ミスが無いか確認する。
……うん、大丈夫!

私が作ったのは、表に『OPEN』、裏に『CLOSE』と書かれた小さめの看板。ちょっとお洒落に、ところどころに薔薇の花とアリス風のキャラを描いてみた。

「蝶羽(あげは)!なーにしてんの?」

「また店の手伝いしてんの?」

横から、親友の亜希乃(あきの)と阿弓(あゆみ)が話しかけてきた。

「ちょっと看板が古くなってたから、新しく作ったんだ!どう?」

「良いんじゃない?可愛い!」

「なるほど。店名が『アリス・イン・ワンダーランド』だからアリスなのか」

そう。阿弓の言う通り。私の家は雑貨屋を営んでいる。父が店長をしていて、母と兄と私が店員をやっている。
たまに手伝いとして阿弓と亜希乃が加わるけど、バイトは取らない方針。

最近は、阿弓がバイトを始めたみたいで、ほとんど亜希乃しか来ないけどね。
 
それにしても、阿弓ってばなんのバイト始めたんだろ……私にも亜希乃にも教えてくれないし……まあ、それなりの理由があるみたいだから、亜希乃も私も深くは追求しないけど。






看板製作が終わると、その勢いで来月の文化祭に展示するための飾りや、売店で売る小さいぬいぐるみをささっと作る。

ささっとのつもりがいっばい作りすぎて、部長に怒られた。












今日の手芸部の活動も終わって、阿弓と亜希乃と駅まで歩いて下校している途中、私のスマホがなった。着信音は気に入ってるボカロ曲。
……兄さんからだ。

「もしもし?兄さん?」

『あ、…あげは、か?ゴホ、ケホッ』

なんだか苦しそうに咳き込んでる。

「どしたの?風邪?」

『まぁ、そんな感じ…ゲホッ…蝶羽、今すぐ…家に帰れるか?』

「う、うん…今、阿弓と亜希乃と帰ってるとこだから」

「蝶羽?どうしたの?」

「飛翔(ひしょう)さん、具合悪いの?」

亜希乃と阿弓が小声で聞いてきた。
私のセリフで会話の内容を読み取ったらしい。

 あ、飛翔ってのは、私の兄の名前。

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