君と花を愛でながら


夏を終え秋を迎え、凍てつく冬の寒さももうじき終わると言う頃。


バレンタインシーズンの限定スィーツは今年も好評だった。
増えた常連さんは勿論、去年のバレンタインに来てくれたお客様が思い出して来てくれたりすると、やっぱり嬉しくなる。


それだけ、このお店が記憶に残ってくれていたってことだから。



「ありがとうございました!」



レジ前でお辞儀をして、最後に残っていた女性客をお見送りすると、すぐに一瀬さんから声がかかった。



「綾さん、お疲れさまです。もう仕舞いにしましょうか」

「はいっ」



夏から何一つ変わらない私達の関係が、そこにある。
プレートをcloseにひっくり返す為、扉を開けて半身だけ外に出た。

< 252 / 277 >

この作品をシェア

pagetop