純情喫茶―恋する喫茶店―
笙は雑誌を閉じると、
「少しでも、俺たちに協力するためじゃないかと思う。

だから、雑誌で店のことを紹介したのかも知れない」
と、言った。

「…そうだったの」

数日前の谷木の電話を、玲奈は思い出した。

嬉しそうに笑っていた谷木の声を思い出した玲奈は、心の底から深く彼に感謝した。

「すみませーん!」

客の声が聞こえたので、
「はい、ただいま」

笙は雑誌をテーブルのうえに置くと、表に行った。

「さて、営業営業」

玲奈も自分に言い聞かせると、表へと足を向かわせた。
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