純情喫茶―恋する喫茶店―
「ごちそうさま」

谷木が椅子から腰をあげた。

身長は180センチほどあるのだろうか?

自分も165センチと女性の中では高身長ではあるが、彼は思わず見あげてしまうくらいに高かった。

玲奈はカウンターを出ると、レジの前に立った。

「お会計…」

サッと、谷木は玲奈の前に千円札を差し出した。

「釣り銭は結構」

玲奈の手の中に千円札を押し込んだ。

ベルの音と共に谷木が店を出た。

入れ違いに、茶色の紙袋を抱えた笙が店に入ってきた。

「お客さんきてたの?」

笙の問いに玲奈は首を縦に振ってうなずくと、千円札をレジの中にねじこんだ。
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