純情喫茶―恋する喫茶店―
確か、昨日のこの時間帯にもきていた。

顔隠しなのか、今日はサングラスをかけていた。

谷木がカウンター席に腰を下ろした。

「今日は女のマスターいないの?」

そう聞いてきた谷木に、
「マダムなら外出中ですが」

笙はコースターを敷くと、お冷やを入れたグラスを差し出した。

谷木はメニューを見ると、
「じゃあ、ナポリタンとコーヒー。

コーヒーは食後に頼む」
と、言った。

「かしこまりました」

笙は調理をするために店の奥へと入って行った。

彼の後ろ姿を見送ると、谷木は頬杖をついた。

「ただいまー」

ベルの音と共に、玲奈が帰ってきた。
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