純情喫茶―恋する喫茶店―
「持っててあげようか?」

そう言った谷木の顔を玲奈は見た。

「でも、重いですし…」

答える前に、谷木は玲奈の手から紙袋を奪った。

谷木が歩き出したので、
「ちょっと…!」

玲奈は後を追って、彼の横に並んだ。

せめて答える前に袋を持って欲しかった。

(自分勝手にも程があるわ)

玲奈は心の中で呟いた。

「今日は店は休みなの?」

谷木が聞いた。

「はい、谷木様もですか?」

そう聞いた玲奈に、
「そうだけど、様付けで呼ぶのやめてくれない?」

谷木は答えた。
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