純情喫茶―恋する喫茶店―
谷木はニヤリと勝ち誇ったように笑うと、
「ふーん、玲奈って言うんだ」
と、言った。

その笑みから逃げるように、玲奈はうつむいた。

「結構いい名前じゃん」

(勝手に聞き出したくせにっ!)

悔しくて何も言い返すことができない。

「そう悔しがるな」

谷木が頭をなでてきた。

その動作に、玲奈の心臓がドキッと鳴った。

でも、恋に落ちると言う訳にはいかない。

相手が芸能人だとか、そんな安易な理由ではない。

「他にどこか行くとこある?」

谷木が聞いてきたので、
「特にないですけど」

玲奈は答えた。

「じゃあ、ちょっくらデートに行きますか?」

「ええっ、ちょっと!?」

ズンズンと前を歩く谷木を、玲奈は追い続けた。
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