純情喫茶―恋する喫茶店―
「お酒がダメなんです」

皮肉を込めて言った玲奈に、
「そりゃ、悪かった」

コクッと、谷木は一口飲んだ。

焼き鳥を焼く煙と煙草の煙とお酒の強い香りに、玲奈は飲んでいないのに酔いを感じていた。

いや、谷木が横にいるから酔いを感じているのかも知れない。

店に入ってきてから、ほとんど飲んで食べている彼に。

「何か腹が減ったなー」

谷木がテーブルに突っ伏した。

「腹が減ったって、さっきからいっぱい食べてましたけど」

玲奈は言った。
< 44 / 117 >

この作品をシェア

pagetop