純情喫茶―恋する喫茶店―
「俺だよ、俺」

後ろから笙の声が聞こえた。

玲奈は振り返ると、その姿を確かめた。

そこには、苦笑いをしながら自分を見つめている笙の姿があった。

「何故悲鳴をあげる」

笙が両手を腰に当てて言ったので、
「――ごめんなさい…」

玲奈は小さな声で謝った。

「早く入るぞ、こっちは腹ペコなんだから」

笙に促され、店の中へと入ろうとした時だった。

「玲奈なの?

笙なの?」

自分たち以外の人間の声が聞こえたので、玲奈と笙は振り返った。
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