夫婦の定義──君が僕のすべて──
「あっ、レナさん。機材の搬送、手伝いに来たよ。」

「ありがと…加藤くん…。」

「どうかしたの?」

レナは必死で何事もなかったように取り繕う。

「なんでもない…。」

なんでもないと言いながら、明らかに様子がおかしいレナを見て、加藤は怪訝な顔をした。

「大丈夫?」

「うん、大丈夫…。機材、運ぼうか。」



レナが早足でスタジオへ行くと、ちょうどシオンのマネージャーが迎えに来た。

「遅くなってすみません。シオンは…。」

シオンの名前を聞いて、レナはビクリと肩を震わせた。

「控え室にいます…。」

なんとか平静を装って答えると、レナは慌てて機材を運び出す。


シオンとマネージャーが去り、レナは加藤と機材を車に積み終えてスタジオを後にした。

加藤は車を運転しながら、先程から落ち着かない様子のレナの事を気にしていた。

(おかしい…。何かあったのかな…?)



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