夫婦の定義──君が僕のすべて──
須藤は腕を組んで考え込む。

そして、机の引き出しから、手紙のような物を取り出しユウに差し出した。

「これ、レナから届いたんだ。」

ユウはそれを受け取り、開いて見る。

「退職願?!」

「レナがいなくなったって言ってた次の日の消印だった。職場にもユウくんにも迷惑掛けるのがつらかったんだろうな。」

「知らなかった…。」


自分の知らないところで、レナはそこまで思い詰めていたんだと思うと、ユウの心はギュッとしめつけられた。

「レナがカメラマンとして独り立ちしてフリーになるって言うならともかく、オレはこんな理由でレナを辞めさせるつもりはないよ。レナのカメラマンとしての腕を見込んで採用したのはオレだからな。」

須藤の言葉を聞いて、ユウは、いつか書店で聞いた女の子たちの話を思い出す。
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