あたしの意地悪な弟

第1節

 高校2年の春。

 「勇輝!遅刻するよ!」

 「分かってるよ!」

 朝から、忙しいあたし達。

 これはもちろん勇輝が寝坊したのが原因だ。

 「勇輝!走るよ!」

 「ああ!」

 あたしと勇輝は、学校まで全力で走った。

 “キーンコーンカーンコーン”

 “ガラッ”

 「「セーーフ!!」」

 「勇輝のせいで危うく遅刻するところだったでしょうが!!」

 「お前なーそれなら先に行けばいいだろ」

 「そうだけどさぁ、勇輝のこと心配なの!!」

 一応弟だしね。

 「あのなー、お前俺をいつまでも子供扱いするなよなぁ」

 勇気は不貞腐れながら言った。

 「だって、あんたはあたしの!!・・・」

 「お前らいいから席に着け」

 あたしが言いかけると担任のあらちゃんこと只野新先生がいた。

 「あらちゃんいつからいたの!?」

 「あらちゃんって意外と影薄いんだな。俺知らなかった」

 「あらちゃんって呼ぶな。いいから席に着け。」

 「「はーい」」

 返事をし、あたしと勇輝は席に着いた。

 「勇輝のせいだ」

 あたし達は席が隣同士のため、席に着いてからもまた言い合いが始まる。

 「いや、俺のせいじゃねぇから」

 まぁ、大抵は勇輝が面倒くさくなって適当に流して終わるんだけどね。

 「相変わらず2人は仲が良すぎて俺妬いちゃうなー」

 あー面倒くさいのが話しかけてきたよ。

 勇輝の後ろの席の利久斗は、いつもおちゃらけていて、はっきり言うとうざい。
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