雷獣

「過保護すぎるのもよくないと思うけどな~かわいい子には旅をさせろって言うじゃん?だから”あの時” ”あんな素敵な経験”させてあげようと思ったのになぁ~男にかこまれt「バキッ」」

槇口って人が言い終える前に拓哉先輩がその人を殴っていた。

「!?!?」
その光景に驚くも私の頭の中には男の人の言葉がぐるぐると何度も聞こえていた。
あの時?素敵な経験?男に囲まれて?

何故だかわからないけど心臓の鼓動が速くなる。
自分の意志じゃ落ち着かせられない。
右手で胸元を握りしめる。

「ハァハァハァ.....。」

「遥香?」
夏惟先輩が私の方に触れる

「嫌‼‼」
夏惟先輩の手を思いっきりはらう
自分の意志とは裏腹に体が拒絶をする。
驚いた表情の夏惟先輩をみて
「ハァハァハァ。ちが....ハァハァ。」
たまらず声に出すがうまく言えない。

「ハァハァハァハァ.......。」
呼吸ができない。私の体じゃないみたいに。
苦しくて足に力が入らずその場に崩れるように座る。

「はる!!!」

苦しくて息が出来なくて涙で視界がぼやける。
拓哉先輩が私の両手を掴んでなにか言っているけど聞こえない。
いつもは安心する声が、体温が今は怖くて仕方がない。
自分で体温がどんどん低くなるのを感じる。

「や、、めて、ハァハァ...。ハァハァハァハァ....。」

声を絞り出して伝えるが手を放してくてない拓哉先輩。
「ハァハァハァハァ.....。」

制服を着た男の人がニタニタしながら私の制服を脱がそうとする。
目の前にいるのは拓哉先輩、でも見えているのは拓哉先輩じゃない。
頭が混乱して自分なりの精一杯の抵抗をする。

「やめて!嫌!ハァハァハァ、離して!助けて!!ハァハァハァハァ...。」
いくら暴れても離れることのない手にたまらず恐怖を抱く。
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