T7S 新人支配人奮闘日記

ステージ1 アイドルなんて大嫌い!!

2034/4/15(土)AM11:00。
カオス極まる支配人交替劇の翌日。
とりあえず、仕方なく出勤し、まぁ誰なのかは薄々分かっているマネージャー(ジャーマネ?知らん。普通に呼ばせてもらう。そもそも何で偽名を使っているのやら)からレクチャーを受けていた・・・
「さーて突然だけど、歌って踊るアイドルのステージには何が重要かな?はい、そこの新人支配人君!」
「いきなりですね・・・まぁ、一番重要なのはアイドルそのものじゃないですか?アイドルでステージは大きく変わりますし」
「おー新人にしてはわかってるじゃん!その通りだよ!」
「・・・まっ、その肝心なアイドルがこのハコスタにはいないんですけどね・・・頭痛がしてきますよってなにやってるんですか?」
何故かマネージャーはさっさと外出しようとしていた。
「何って決まってるじゃない!
スカウトしにいくのよ!ス・カ・ウ・ト!!」
「・・・はぁ!?無理ですよ!無理無理!!」
俺はすっとんきょうな声を上げてしまった。
今の時代、スカウトなんてほぼ皆無になってしまい上手く出来るとは到底思えなかったからだ。
それに、あともうひとつ、俺自身にも問題が有った。
それは・・・
人見知りだったのだ。しかも、かなりの。

「・・・ええええ!支配人君それスカウトマンとして、かなり致命的じゃない!!」
「いやーアハハハハ・・・SNSとか、オンラインゲームとかなら、あっという間に溶け込めるんですけどねぇ、リアルだと・・・なぁ」
まぁ、口足らず+口下手なのだ、しかも、その上、内気となれば、スカウトなんて成功出来るはずがないのであった。
「はぁ・・・いわゆるコミュ障とか全くどうすればいいのよ・・・」
「うっ・・・」
二人とも、机に突っ伏してしまった。
(・・・あぁ、アイドル志望の娘が来たりとかしないかなぁ・・・)
なんて、非現実的な都合の良すぎる事を思った時だった。
ガチャ。
扉が開く音。
そして、開けていた窓から桜と共に春一番が吹き込んできた。
舞う桜。
思わず目の前を腕で隠した。
「・・・あの、すみません」
そして腕を降ろした。
桜吹雪の中、そこには、女子高生がいた。

・・・夢か。
だと思ってしまった。
余りにも都合が良すぎたからだ。
多分、春の陽気でコテンと眠ってしまったに違いない。
そう思いつつ頬をつねる。
痛い。
「・・・え」
まさか・・・夢じゃない?
「あの・・・すみません!」
「あぁ、はい!なんでしょうか?」
ようやくフリーズした頭を再起動し急いで対応した。
年は恐らく高校生か、そこらあたり。
華奢な体格、そして、おそらく明るい性格なはず。
かなりいい娘だけど、早まるのは駄目だ。
って何期待してんだか・・・
「私、清掃のバイト募集のチラシを見て・・・」
「清掃・・・?」
少しの間昔の記憶をあさって思い出した。
そういや前支配人があまりにも酷いからって募集していたのだった。
ただ、誰も断ったらしい。
どんだけ酷かったんだよ・・・
「あーはいはい!清掃ね、確かに・・・」
まぁ、心機一転に整理整頓するのも良いか、と思い採用の旨を言おうとしたのだが。
とんでもない光景を見てしまった。
「ねぇねぇそこの君!アイドルって興味ない?」
「ってなにやってんですか!?」
なんと、清掃のバイトで来たのにアイドルにならないかとマネージャーが勧誘し始めたのだ。
・・・そうだった、六咲コニーこと七咲ニコルは、リーダーではあったが、グループ1のトラブルメイカーでもあったのだ。
そのやらかした談は多くあるが、一番はSparkle☆TIME!!だろう。
この時、まだ歌詞すら出来てないのに一週間後に新曲発表ライブを設定したのだ。
当然ながらメンバーは大混乱。
・・・だが、歌詞はどうにか完成。
しかも理由がニコルの見た夢だったのだから驚きだった。あんたはyesterday作ったあの人かよ。
閑話休題(それはさておき)。
「えっ・・・アイ・・・ドル・・・ですか・・・?」
「そうそう!で「なにやってんすかあんたは!」
思わず突っ込む。
そりゃしたくもなる、清掃のアルバイトで来た娘をアイドルにならないかといきなりスカウトする奴がどこにいるか!
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

カゲロウデイズ twosidestory
Curiosity/著

総文字数/3,804

その他4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop