タイガーハート


『こ、とらくん。』


「…。」


いつもの教室。
机に着席する野並さんが口を開く。



『助けてくれて、


あ、
あ、りがとう…っ』


声が涙混じりになり、
次の瞬間には目から大粒の涙が零れ落ちた。


2つ前の席に後ろ向きに腰掛けたまま、それを見つめる。



「野並、さん。」

野並さんが嗚咽をしながら顔を上げる。

「もう大丈夫。」

< 19 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop