タイガーハート
それぞれの想い


伏見と別れ、数日が経った。
何事もない日々が戻ってきただけなのに、心には大きな穴が空いている。


伏見とも、野並さんともあれから一切口をきいていない。


文化祭の出し物を決めるホームルーム。
皮肉にも、出し物はメイド喫茶に決まった。


クラスメイトが叫んだ、『メイド喫茶だろ!』の言葉に
伏見は表情を曇らせた。

誰より傷ついているのは、伏見だ。


そしてホームルームが終わり、事件は起こった。
『え!?』
「…ベストカップル?」

伏見と俺は耳を疑った。

『そうなの!

ももと小虎、うちのクラスから
文化祭の前夜祭で開催されるベストカップルコンテストに出てもらうことになったからね!』

クラスメイトから告げられた衝撃の事実。


『なんか楽しみだねー!』
『ちなみに後夜祭はカラオケ大会だって!』
口々に声が飛び交う。

そんな雰囲気をぶち壊すわけにもいかず、伏見も俺も事実を告げることができなかった。

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