タイガーハート
終礼のホームルームで、教室に戻った。
『あ、小虎!!大丈夫!?』
「うん、大丈夫」
皆がそれぞれ口にする心配に、答えながら席につく。
ホームルームが始まる。
左前、ちょうど教室中央から強い視線を感じる。
…伏見だ。
それを周りの席のクラスメイトがぎょっとした顔で見ている。
無理もない。
皆が前を向く中、一人だけこちらに体を向け、凝視しているのだ。
とっても不気味であろう。
刺さる視線を無視しながらホームルームを終えると、すぐさま鞄に手をかけた。
逃げなければ。奴は来る。