タイガーハート


『はぁ!?お前ふざけんなよ!』
俺に掴みかかろうとする女子生徒を隼人が止める。

『やめろって!』

教室に沈黙が訪れる。
すると小さな声が沈黙を破った。


『もう、やめよ…』
鼻にかかった伏見の声。



また俺は、伏見を泣かせてしまった。

…でも、これが最後だ。

「終わりだな」
下を向きぽつりと声を落とす。

『小虎!お前…っ!』
隼人に止められている女子生徒が再び声を上げた。


その時、

パン!!!と乾いた音が教室に響いた。

『そういう被害者ヅラがむかつくのよ!!』
野並さんの声が教室に響き渡る。

見ると、伏見が自分の頬を押さえている。俺の体が動く前に、野並さんが続けた。


『アンタなんて大嫌い!!

ずっと小虎くんに一途に思われているの、わかってたはずでしょ!?

そんな恵まれてた立場いるのに、
一度も小虎くんを信じてあげなかったじゃない!』

その声がだんだんと涙混じりになる。


『あの時も、今も、小虎くんはももの事もしか見えていない。

教えてあげる。

あの時、私が強引にキスしたのよ。


だけどももは信じる事ができずに、
そんな小虎くんをこんなにも傷つけたのよ?』

伏見を睨みつけながら言葉を続ける。

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