迷い羊に連れられて
Side*Yui
いざ新しい恋を!と意気込んでも現実は上手くいかなくて、いい人が見つからない。
電車の中や街中で一目ぼれしようと思うと、一目ぼれするような相手がいない。
中田君はいつの間に私に気づかなくなり、ちょっとさみしい気分だった。
こんな時に中田君がアタックしてくれれば付き合ったのに...なーんて思ってしまった。
私たちの学校は進学校だから、2年の冬くらいから受験勉強を始める生徒も少なくない。
私もその一人で、部活が終わった日に家の近くの喫茶店で勉強することもよくある。
いつもは一人席が空いているが、今日は混んでいて6人くらい座れる広々としたテーブル席しかなかったので、そこに座った。
「あっ。」