迷い羊に連れられて
迷い羊と迷子
Side*Kouichi
どうしたことか、教師であることを忘れて野々瀬を抱きしめてしまった。
本人には勘違いしたと言ったが、それでも怒っている様子だった。
幸い、学校には洩らさなかったらしく、いまのところごく平穏に仕事を続けられている。
しかし野々瀬はずっと許していないのか、今でも俺と関わろうとしない。
修学旅行のお土産としてもらったキーホルダーも気まずく、外してしまった。
いいんだよな。
これで野々瀬のことも諦められる。
その日はたまたま大学時代の同級生との飲み会があったらから、ありがたかった。