月下美人が堕ちた朝
だけどそれは、良い母親を演じようとする建前だと、あたしは思っていた。
「アミちゃんのことで悩んでた。
可愛いのに素直に愛せない自分が、憎らしいって。
アミちゃんのお婆様に、言われたらしいわ。
アミは本当に息子の子か?、って」
母親が、あたしを、愛していた?
素直に、愛せなかった?
お婆ちゃんの言葉のせいで?
「アミちゃんのお母さんね、ずっと忘れられない人が居たのよ。
学生時代の恋人。
結婚してからも二人の関係は切れなかった。
勿論、友人として、だけどね。
それをお婆様に知られたのよ。
それと同時期に、アミちゃんを妊娠したの。
おろせと何度も言われたけど、固くなに拒否した。
だってアミちゃんのお父様は、昔の恋人ではなく、間違いなく今のお父様だからね」
母親がユウコさんにこんな話をしていたなんて信じられない。