月下美人が堕ちた朝
20060726am05:33
懐かしい香りがする。

スバルが出逢った頃につけていた、バーバリーの香水の香り。

あの頃は良かった。

スバルが本当に自分を愛してくれているのを、毎日側で感じられたから。

愛されている、という自信があった。

勘違いだったのかも、しれないけれど。

目を開けると、真っ白な天井が見えて、頭上からは朝日が部屋全体を照らしている。

壁に張り付いてあるシルバーの時計は、五時三十分を少し過ぎていた。

体を起こして部屋を見渡すと、直感的に此処はスバルの部屋だったんだろうと分かった。

大きなコンポに、数えきれないぐらいのCDと音楽雑誌。

テレビの横には、光沢を放つ真っ黒なギターと真っ白なベースが並んでいる。

スバルがベースも弾けるなんて知らなかった。

だけどそのボディには埃がかぶっていて、少し切ない気持ちになる。
< 160 / 196 >

この作品をシェア

pagetop