月下美人が堕ちた朝
そして彼は立ち上がって言いました。

「こえー女。
めんどくせぇから切るわ。
疲れた」

あたし、体に力が入らなくて。

声も出せずに、引き留めることもできなかったんです。

それから…それから…。

包丁を持って…。

スバルの後を追いました。

サクラザワ公園は、あたしたちが出逢った場所なんです。

告白も、初めてのキスも、あの場所だったんです。

だから全ての終りも、彼処じゃなきゃダメだったんです。

サクラザワ公園で彼を見付けて、もう一度説得しようと腕を掴んだら、彼が叫ぶんですよ。

「気持ちわりぃな。
嫌いなんだよ。
好きじゃねぇ。
お前おかしいよ。
何であんなことしたんだよ。


オ前、狂ッテンジャナイノ?」

それであたし、後ろから彼を刺しました。

彼はあたしのものだから、もう誰にも触れて欲しくなかった。
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