明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

「こんなの違う。誰かの悪戯よ」

 亜紀子は慌ててそう口にする。

 否定してしまえば証拠はない。

 だが、彼女の顔は青ざめ震えている。
 それが事実だと暗に伝えていたのだ。

「でも、ここまで手の込んだことやらねえって、普通」


 その時、扉があき、明香が入ってくる。彼女は周りを一瞥すると自分の席につく。

 いつもは明香が来たら大人しくなるクラスメイトもその時は勝手が違った。

「お前ってブログやってたんだな」

「何の話?」

 明香は眉根を寄せ、岡部君を睨む。
 岡部君はそのブログのコピーを明香の机の上に置く。
 明香は眉をピクリと動かした。

「お前のブログのコピーがあったんだよ。すげえな。これはあいつも学校に来れないわけだ」

「知らないわよ」

「でも、お前、このブログ主と同じブランド物のバッグ持っていたよな。限定品とか言って騒いでいたじゃん」

「知らないわよ。世界で一つしかないわけじゃないし、知らない」

「このブログ、古賀のじゃないなら、ログインしてみようぜ。IDはブログのURLから分かるからあとはパスワードだよな。まずは古賀の誕生日なんてどうだ?」

 岡部君の言葉を受け、誕生日、住所、携帯の番号など様々な情報でそのブログにログインしようと試みている。だが、どれも適合しないようだ。
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