明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
少女の望み
 優香の家から出て大通りに出たところで、信号待ちをするあゆみの姿を見つけた。

 私は彼女の名前を呼び駆け寄った。

「私も一緒に探すよ。大事なものなんでしょう?」

「あんなのたいした価値もないものだよ」

 あゆみの瞳に涙が浮かぶ。

 彼女は少し間を置いて言葉を続けた。

「でもあれは私が芽衣にあげたの。芽衣が来年にはもう一度転校するって聞いて、何かおそろいのものが欲しいって言うから。どうせなら記念になるものが良いって一緒に作ったの。それをお互いに交換したの」

 あゆみは目に溜まった涙を拭う。

 あゆみに事情を話せば良いのは芽衣自体も分かっていたはずだ。それでも、芽衣は大事なものだから、自分の手で探そうとしたのだろう。

「行こう」

 私の言葉にあゆみは頷いた。

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