明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 私は嫌な予感がした。

 誰かクラスメイトに事情を聞こうと考えるが、昨日の今日で誰か頼れるかといえばノーだ。

 幸い、私の家と学校は近い。時刻はちょうど四時を回ったくらいだ。

 まだ学校からさほど離れていない場所にいるはずだ。

 私は学校の制服を着ると、家を飛び出した。母親は買い物にでも出かけていたのか、幸い家におらず、呼び止められずに済んだ。



 ドアを開けると真っ赤な夕日が視界に飛び込んでくる。

 私はその夕日に不安を掻き立てられながら、真っ先に学校に向かうことにした。


 角を曲がり、校舎が視界に映った時、門から救急車が飛び出していく。

 放課後はいつもサッカー部がグランドを占拠している。

 だが、その日ばかりは制服姿の男女の人だかりが出来ていた。

 私の中で芽衣のメールが蘇り、その人ごみの中をかき分けて行く。

 何人かが割り込んできた私を睨むが、そんなことに構ってはいられない。やっと人ごみの中心が見られる位置になったとき、紺色の制服を着た人に遮られた。

 警察だ。

「下がって」

 別の人が写真を撮っている。

「誰?」

 私の背後で誰かがそう話していた。

「私、見ちゃったけど、確か一学期から入ってきたという女の子じゃない?」
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