くすんだ街
一日の作業が終わり、いつもと同じように少年たちの群れに交じって、寮へ向かうスグルの視界に一人の女性の姿がうつった。

その女性はどこか奇妙に自分のことを見つめていた。

しかし、スグルは他の少年たち同様、無表情のまま女性の横を通り過ぎた。

女性の視線を背中に感じながら歩いていると、不意にスグルは頬になにかが伝うのを感じた。

反射的にそれを手で拭う。
奇妙な液体が流れていた。

スグルには、その液体の意味が分からなかった。



くすんだ街はくすんだまま、色づくことなくそこに存在していた。
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