美味しいほっぺにくちづけて。
「俺は、もうアイツらに会わないほうがいいんだよ。」





俺の頭でっかちのせいで大切な奴らを傷つけた。

そのときは、そのことに精一杯で周りが見えていなかった。理屈や、偏屈になって、自分のことばかりだった。







大切な仲間だったのに。
自分の言ってしまった言葉で仲間を傷つけてしまった。





「なんでだよ。おまえが思ってるより、アイツらはおまえを責めてない。おまえが一人でアイツらを遠ざけてるだけだろ・・・みんな、空に会いたがってるよ。」



「んなこと、あるのか?」




「ああ。」





咲良は、即答して答えてくれた。



「昴もおまえに会いたがってる。」







昴・・・その名を咲良から聞いて胸の奥がドキンとなる。





昴、俺を責めてないか?
俺は、自分勝手だったと後々知ることになり、自らの事しか考えてなかったんだ。


後々からそんな大事なことに気づくなんて遅すぎるよな。



そのときの状況がふわふわと浮かび上がって来て、胸が苦しい。



電話越しで咲良が俺を心配しているのが分かる。



「おまえ、体はもう大丈夫なのか?」




「あぁ。目眩も治ったし大丈夫だよ。」




「あんまり無理すんな。けど、俺はおまえらの歌・・・・また聞きてぇなぁ。」



ありがとな、咲良。

俺は、色々な人に支えられて、幾度も励まされた。


昴・・・・もう怒ってないのかよ。




だからこそ、俺は今、



歌うしかできなかったんだ。
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