過去恋に今の鼓動を重ねたら
雅也さんが来てくれると言うけど、気分は重い。謝ったし、やましいことはないけど、思いもしないことを責められるかもしれない。

冷静に対応できるか不安だ。


雅也さんとの通話を終わらせた5分後、今度は真島くんからの着信が入る。


「ご飯、ちゃんと食べてる?帰りになにか持っていくよ。あとで住所を送って」


「え、ううん。大丈夫だよ。食材はあるから大丈夫。心配してくれてありがとう」


今、真島くんの好意を受けるわけにはいかない。雅也さんが来るというのに…鉢合わせしてはまずい。それこそやましいことをしていると思われる。

雅也さんが来なければいいというのでもない。真島くんを家にあげてしまってはいけない。真島くんに頼ったり、甘えたりしてはいけない。

私が頼るべき、甘えるべき相手は雅也さんなのだから。

真島くんに欠勤を伝える前に雅也さんに伝えるべきだったと後悔しても遅いけど、これ以上真島くんに近づいてはならない。
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