はるのリベンジ
ねじ曲げられた真実



目が覚めると見慣れた天井が見えた。



ここは・・・土方副長の部屋?



周りを見渡すと、山崎さんがいた。



はる「あ・・・。山崎さん・・・。」



山崎「おはようさん。体、どうや?」



はる「はい。あちこち、痛いですが、大丈夫です。」



山崎「ほな、土方副長に報告してくる。飯、食べれそうか?」


はる「お腹は空いてますが、口が切れてて食べれません。」


山崎「はははっ。食い気はあるんやな。わかった。何か探して、持って来たる。」



はる「ありがとうございます。」



そして、山崎さんが部屋を出ていった。






しばらくすると、幹部全員が、部屋に入ってきた。



そして、全員、佇まいを正した。



え!?何?



近藤「実は、先日、長州の高杉が来た。」



東行先生が!?どうして!?



イケナイ。平常心・・・。平常心・・・。



はる「それが何か?」


近藤「梅君。君は、おなごだったんだね。」


何で、バレてる!?


気を失っている間に見られた!?



近藤「高杉から全て聞いた。君が何故、男になって、ここへ来たのかも。」




ちょっと待って。長州は、新選組の敵!



はる「そうですか・・・。高杉様は?」


近藤「高杉?」


はる「まさか・・・。」


私は、体中に痛みが走るが、立ち上がり、フラフラになりながら、近藤局長に、倒れかかる。



近藤「お、おい。無理はダメだ。」


はる「何かしたの!?何かしたら、あんたでも、絶対許さない!」



土方「何もしてない。」



土方副長に、引き剥がされる。



近藤「高杉には手を出していない。」


はる「本当ですか?」


近藤「あぁ。大丈夫だから、安心しなさい。」



そして、また、褥に戻された。



近藤「君の父上の事だが、間違えて、捕縛して、拷問をかけて、死なせてしまった。新選組一同、謝らせてもらう。悪かった。」



近藤局長が、頭を下げると、他の副長、助勤の皆様も、頭を下げた。




はる「っ。あの時の事、全て、話して貰えますか?」


近藤「あぁ。勿論だ。あの夜、我々は、遊郭角屋に長州の不逞浪士の密会があるという情報を掴んで、張り込んでいた。そこに、『良いものが手に入った』と、声がして、それを、別の者と勘違いをした。」



はる「それで、間違って、捕縛を?」



段々、明かされる真実に、目の前が、涙で霞んでくる。



近藤「そうだ。捕縛したのは、芹沢一派で、途中から、気付いていたようだ。それで、新見が自分の不正も、君の父上に押し付けた。」


はる「では、拷問をかけたのは、誰ですか?」


近藤「新見らだ。」


はる「本当に?」


近藤「あぁ。」



私は、近藤局長をジッと見つめる。


そして、他の幹部も、見つめる。


きっと、そういう事にしたんだ。本当は、土方副長だよね・・・。



はる「そうですか・・・。わかりました。では・・・。」



私は、痛む体を起こして、佇まいを整える。



はる「教えて頂きありがとうございました。これで、父に、報告出来ます。」


と深々と頭を下げた。



「っ」
「っ」
「っ」



数名が息を飲んだ声が聞こえる。



そして、わたしのここにいる意味は無くなった。



はる「私を、除隊させて頂けませんか?」



近藤「どうして?」



はる「ここに来た意味を、ご存知なら、私は、もう、ここにいる意味が無くなりました。ですので、出て行きたいです。それに、間者かもしれないと疑いも出るでしょうし。」



近藤「ここにいなさい。高杉もそれを、望んだ。」


はる「え?高杉様も?」



近藤「君は、池田屋の事件で、長州から命を狙われているそうだ。だから、しばらくはいなさい。」


そっか。吉田様の命を取ったんだ。命を狙われても仕方ない。



はる「それでは、お願いします。土方副長、私の持っている、情報をお譲りします。」



私は、長州藩が怒り、攻めてくる話しをした。



土方「なるほど・・・。わかった。会津藩に知らせる。」



私のことが知れたという事は、沖田助勤のこと騙した事もわかったんだよね・・・。



はる「あの・・・。沖田助勤と、二人にしてもらいたいのですがよろしいでしょうか?」




そして、部屋に、二人きりになる。



私は、もう一度、起き上がり、頭を下げた。



沖田「ど、ど、どうしたの!?梅ちゃん!?」


はる「沖田助勤。騙してて、本当に、申し訳ありませんでした!!気持ちを弄ぶような事をして、本当に、すみませんでした。」



沖田「顔を上げてよ?ね?聞いたときは、驚いたけど、全て、梅ちゃんだったんだと思うと、嬉しかった。でも・・・。この前、言ったことは忘れて?私も、忘れるから・・・。」



はる「はい・・・。」


沖田「あと、もうすぐ、土方さんから、沙汰があると思うけど、梅ちゃん、異動があるんだ。三番隊になるんだ。あと、私の小姓から、土方さんの小姓だよ。ふふふ。今から、悪戯考えとかないとだね♪」



はる「えぇぇぇ!?鬼の小姓・・・。」


沖田「はははっ。告げ口しようかな。」


はる「や、止めて下さい!団子作りますから!」



沖田「やった!じゃあ黙っておいてあげる。ごめんね?痛かったよね?」



はる「はい・・・。でも、受けて良かったんです。沖田助勤が違うってわかったから。あと、沖田助勤の大切な師に刀を向けてすみませんでした。」


沖田助勤は、優しい手付きで頭を撫でて出て行った。











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