はるのリベンジ




そんな、ある日。




沖田「梅ちゃん。明日、非番だよね?おなごの格好して欲しいんだけど。」



はる「わかりました。」



潜入か何かかな?




次の日、おなごの格好で、門の前で待ち合わせ。



待っていると・・・。



はる「沖田組長!」



沖田「おはるちゃん。可愛い。行こっか?」


はる「はい!」



すると、沖田組長は、赤い顔になって、手を出してきた。



あ!恋仲のフリか!



私は、沖田組長の手を取った。


すると、沖田組長は、パァっと明るい顔になる。




そして、町をブラブラする。



京の町、久しぶりだ!



って、任務、任務。っていうか、何の任務なんだろう。



はる「どこへ行くんですか?」



沖田「んー。最初は、甘味処。」



そして、初めて、はるとして、沖田組長と、逢瀬した時の高めの甘味処だった。



私達は、甘味処に入る。



はる「やっぱりここの甘味、美味しい!」



沖田「喜んで貰えて良かった。さぁ、食べよう!・・・。コホッ。コホッ。」




はる「沖田組長、風邪ですか?」



沖田「うん・・・。あ!ごめんね!」



はる「気をつけてくださいね?」


沖田「ありがとう。はい。あーん。」


はる「え・・・。恥ずかしい。」


沖田「良いから。あと、今日は、沖田組長って止めて?」



そっか!仲の良い恋仲役か!


はる「すみません。沖田様?」


私達は、食べさせ合って、仲の良い恋仲を演じた。



沖田「そろそろ行こっか?」


はる「はい・・・。もういいんですか?」


沖田「うん!あ!他に何か食べたかった?」


はる「いえ。そういう訳では・・・。」


そして、お芝居を観る。



なるほど!そういうことか!



沖田組長、前に好いてるおなごがいるって言ってたから、逢瀬の下見か。



そして・・・。



沖田「おはるちゃん。お酒飲みに行こうか?」



はる「ふふふ。はいっ!」



お酒を飲んでいると、沖田組長が、


沖田「今宵はここに、泊まろうか?」


と言う。


はる「沖田組長、それじゃあ、ダメです!帰したくない。とか、好きとか、言わないと!沖田組長の気持ち、伝わりませんよ?」




沖田「え?そうなの?」


はる「だって、好いてるおなごを逢瀬に連れて行く下見でしょう?」


沖田「え?下見?」


はる「はい・・・って違うんですか?」


沖田「あ・・・。だからか・・・。」


いきなり、真面目な顔になり、出ようと言われた。



そして、店を出て、近くの河辺まで来て腰を下ろす。



はる「そろそろ帰らないと・・・。」


沖田「梅ちゃんの外泊許可は取っておいたから・・・。」


はる「はぁ・・・。」



何か、悪いことしちゃった?さっきから沖田組長、黙ってる。怒らせた・・・?



はる「あのー。沖田組長?私、何かしましたか?」


沖田組長は、黙って首を横に振る。



じゃあ、何だ?あ!悩みがあるのか?



はる「あの・・・。何か悩んでるなら言って下さい!私で・・・っ。」



ギュッと抱きしめられた。



え?何でこんな事になってるの?


はる「え?沖田組長・・・?」



ギュッと抱きしめられた腕の力が、強くなった。


はる「ぐふっ。苦し・・・。」


沖田「あ!ごめんっ!」



そして、パッと離される。



そして・・・。



沖田「私の好いてる人は・・・。おはるちゃんなんだ。」


はる「へ?」



情けない声が出る。



だって、前に、もう忘れるって言ってたよね?



はる「私の正体がわかった時に、もう忘れるって・・・。」



沖田「忘れようと思ったけど無理だった。だから・・・。おはるちゃんを私に惚れさせる!」





はる「私には、愛してる人がいます。そのお方を忘れるなど出来ません。」



忘れるつもりもない。



沖田「わかってる。でも、私は、君と・・・。おはるちゃんと夫婦になりたいと思ってる。それくらい、おはるちゃんを好いてる。おはるちゃん、君が、まだ、高杉の事を忘れられないのはわかる。でも、君を幸せにしたい。私は君といたら幸せになれる。一緒に幸せになろうよ?私と夫婦になって下さい。」



はる「なっ・・・。」



答えられない。だって、あまりにも真剣に言うから・・・。



でも、私の心は、東行先生のものだから・・・。



沖田「今日は、自分の気持ちを知って貰いたかった。これから毎日、求婚する。覚悟しておいてね?」



はる「沖田組長!その気持ちにはお応え出来ません。」




沖田「今すぐは、無理だってわかってる。だから、今日は、これを貰う。」



そう言うと、沖田組長の顔が目の前にあり、唇が重なった。



はる「っ!」


頭の後ろに手を置かれて、何度も口付けされた。




ようやく離された唇が熱い。



沖田「ねぇ。おはるちゃん。」



はる「何ですか?」


沖田「夫婦になろう?私の妻になって?」



はる「嫌です。」



沖田「連れないなぁ。」



そしてまた唇を重ねられる。



武五郎様に接吻された時とは、違う感情に私は、まだ気付いていなかった。


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