生きて 強く
声、震えてなかったかな?



強がって嫌みを言ってしまったけど、引いていた涙がまた顔を出す。


どうして真っ赤になるの?



終わりを告げたのはそっちじゃん……。



足が止まりそうになるのを必死に踏ん張って、歩みを進める。



琢也は優しい奴だ。



振り向かずに強い力で支えてくれる。



「ありがと、ね」




震えてしまう声を絞り出したが、小さく、消え入りそうな声になった。



しばし無言で歩いてくれていた琢也が、笑いながら口を開く。



「お前、俺にありがとうって言ったな?
つまりさ、お前は1つ俺に借りを作ったって事だ」



「…は?」



「だからさ、今度貸しを返してもらうから。
今日はいいよ」



今だけは、遠慮はいらない。



私は必死に堪えていた感情を解放して、琢也の背に身を委ねた。
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