Smile!
いつの間に来ていたのか、みきりさんが応接室で煙草をふかしていた。


細めの女性向け。

それをスタイリッシュに、女の私が惚れ惚れするほどカッコ良く。


クールアンドビューティーとは言ったものだ。


「ぅい〜っすみっちゃん。アロハイェーイ?」


……口を開かなければ。


それに今度は『みっちゃん』になってるし。


でも


「……なんで私たちを撃ったんですか」


今は軽口だけじゃ受け入れられない。


心なしかみきりさんの表情が硬くなった気がした。


「六。あんたどこまで話した?」


缶コーヒーを抱えて来た六が、みきりさんに一本放り投げる。


「俺もさっきホームズとかそのデスクの残留思念から全容を知ったところだからな。実際話した事は《この娘》の記憶が偽物だって事だけだ」


「ふぅん」


みきりさんの視線がこちらに向いた。


「確かに私はギルドの《お友達》に頼んで、あなた達二人を狙撃して貰ったわ。もっとも、当てないように念を押した筈だけど?」

「俺は撃たれた」


六は不機嫌そうに缶コーヒーを私に渡してくれた。


ブラックだった。

飲めねーよ。


「あんたは頭意外は不死身でしょ?だからお友達が『威嚇だけで面倒臭せーな』とか言ってたから頭意外好きなとこ撃っていーよって―――」

「俺はサンドバック代わりのストレス解消アイテムか!?おい!滅茶苦茶いてーんだぞ、あれ」

「えーじゃないっすかぁ、減るもんでもなし」


睨みながらホームズを連れて部屋の奥に引っ込んだ六が、「いつか殺す……」とか呟いたのが聞こえた。


「にゃはははは!怒っちった《(笑)》(かっこわらい)みたいな♪」


みきりさんはケラケラと一通り笑うと、急にキリッとした表情で私に言った。


「話したげるよ。座りな?」


優しい言葉使いなのに、私は背中に冷たい汗がじっとり流れるのを感じた。
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