チューリップの花束に愛を込めて
チューリップの花が


健太と約束のカラオケに着いて、ソファーに腰掛けたけど、あたしの心は揺れている。



『亜季、ランネットの新曲あった』



あたしの心の揺れなんか知る由もない健太は呑気に、ランネットの新曲を入れる。


ランネットの新曲の前奏が流れ始め、ランネットにしては珍しいバラードに、あたしの心は更にキューってなる。


最初の出だしが、“君を好きになり、毎日が希望と絶望の繰り返しで、それでも君を嫌いになれない”、あたしの今を表す感じがして、切なくなって、苦しくなって。


あたしはもうマイクを持っていられなかった。




『亜季?どうした?』


健太は心配そうにあたしの顔を覗き込む。



『………』


答えなきゃいけない。

何か言わなきゃ怪しまれちゃう。


でも、言葉がでてこない。



苦しいよ、健太…


あたしのこと、なんでも分かるんでしょ?


それなら、この苦しみから開放させてよ?


苦しみからの開放の方法を教えてよ…?






『亜季、やっぱなんか変だって…
 今日は帰ろ…?』



やだよ。


もしかしたら、健太とこんな風に過ごせるのはなくなっちゃうかもしれないんだから…





『……ごめん…なんかお腹痛くて……
 トイレ行ってくる!』


あたしはそれだけ言って、部屋を出て行く。




好き。


好き。


あたしには、その気持ちしかないよ。



なのに、どうしてこんなに苦しくて、悲しくて、健太に問いかけちゃうばっかなの…?





あたしは部屋を出てすぐのトイレの個室に入る。


こんな狭くて、窮屈な場所、でも今はこの空間が心地いい。


それに、もう涙が出てきてしまってるあたしの顔を健太には見せれない。



あぁ…早く、この涙、止まってよ…!





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