狼×4+私=架空世界
「だから、仲いいんだねー。」

「そりゃ、もう!!皆同じく首を狙われる運命だし!!」


命を狙われているのにこの危機感のなさも、4人で生きてきたからだろう。

その中に私、入っていい?____なんて絶対に言えない。

表面上だけでも笑顔を取り繕い、また前を見る。

外からの明るい日光が差し込んだ廊下。

春日和で、外ものんびりとした空気が漂っている。

ぺたぺたと足音を立てながら廊下を進む。

終始無言ではあるものの同じ時間を共有するのはやっぱり楽しい。


「ユイはさー」

「ん?」

「ずっと一人だった?」


突然のことに目を丸くする私。

一人?一体何が?

私が黙っているとセシルが焦り出す。


「いや、その、別に、うん、そういう訳じゃなくて!!

ユイはいつも悲しそうだから、ね!?」

「…私そんな暗い表情してる?」

「しっしてないしてない!!そうじゃなくて!!えっとなんていうか…」


しどろもどろになるセシル。

そんな必死にならなくてもいいのに。

するとセシルがポツリと言った。


「だってユイ、自分から話しかけないでただ待ってるから。

そういう人って大抵、一人になるのが嫌で話しかけない人だから…」


初耳。


「そうなの?」

「うん。ハヤテとかコミュ障だから正にそれ!!」

「え…ハヤテと一緒にされると傷つく…」


本当にショック受けちゃった…


「ひどいね~ユイは。

そうやって本人いないところで言うんだ~」

「ひっ!!」

「ばぁ~」


とハヤテが突如登場。

本人はばぁ~なんて言って驚かせてるつもりなんだろうけど

本当は、


「おいハーヤーテー!!ユイはそっちにビビってねーよ!!」

「うぇ~?そうなの~?」

「う、うん…」


なんでセシルはそういうこと言っちゃうかなぁ…!!

という心の声も虚しい。

そのやり取りを眺めていたら、前を見ずに歩いていたためか

廊下の壁に正面衝突した。


二人に大爆笑されたのは言うまでもない。
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