狼×4+私=架空世界
ふわふわと浮いた感覚がなくなり目を開けると、そこは完全に政府本部。

内部に入れる人間なんてそこに仕える人と超能力者たちしか入れない。

エスパーたちがそこらじゅうにいるというのに、手の甲に刻まれた責任放棄者の紋章が光っていないのは、きっと神様の計らいなんだろう。

…多分。


「そう言えばまだ、俺らの能力教えてもらってないよねw」


言われて気づいた。

確かに、何も聞いてない。

今思ったけどあの神様すごく私たちの扱い雑じゃない…?


「確かに。まぁ別にいいだろ。」

「全っ然よくないよ!?何考えてんの!?」


セシル以外、まともなのがいないように感じるんだけど…


「ハヤテは読心術だろ?w

前ユイの心の中読んだもんなw」

「うん。マシューの心の中は『w』しかないね~。」

「いくら当たってるとはいえ、地味にひどいねw」


「おい!!侵入者だ!!侵入者がいるぞ!!」


何者かが声を張り上げた。

フウトは咄嗟の判断で


「逃げるぞ!!」


と叫ぶ。

それと同時に4人は走り出す。

少しで遅れてしまった私はフウトに姫抱っこされる。

ハヤテの時はどうせなら…なんて言ってたけど人前でやられるとすごく恥ずかしい。

悪い意味で。


「そっちに人いるっぽい。右に曲がった方がいいよ。」

「おうよ!!」

「防犯カメラが前方20メートル先にあるからそこ左。」

「お~け~。」

「そっちには警備の人がいる。気を付けて!!」

「分かった。」


不思議と遠くにある物は人が目に飛び込んでくる。

何だろう、この感覚。不思議。


「ユイは千里眼じゃね?w」

「遠くの物が見えるのが?すごい、意外と楽しそう。」


能力ってこんな簡単に使えるんだ。

だから、超能力者もあんな風になっちゃったのかな。

私は少し、超能力者の気持ちが分かったような気がした。
< 18 / 76 >

この作品をシェア

pagetop