狼×4+私=架空世界
その時、ベッド周囲の光が薄くなり、全員が乗っているこのベッドに光が照らされる。


「諸君。」


エコーしてしわがれた声が光の向こう側から聞こえてくる。

私はその光の方向を見上げた。


「今日は寝ていた中…いや、寝とらん奴もおったが…」


こだわるんだ、そこ。


「集まってもらって、さんきゅー。」



5人全員がベッドから落ちそうになった。

しわがれた声が、『さんきゅー』!?

似合わなさすぎ!!



「今日集まってもらったのは他でもない。

諸君は、超能力者を退治するためにここに集められたのじゃ。」



その声に気分は沈んだ。

この世界には超能力者がいる。



人間とは醜いもので、超能力者のほとんどは悪に走り、

世界は今その超能力者たちが支配しているのだ。



人々は絶望の淵にくれている。…貧困層は。

今現在、この世界は貧困層と富裕層というカーストが定められている。


例えばフレンチ店で富裕層はもてなされるが、貧困層はもてなされるどころか金品だけ巻き上げられ追い出される始末である。



世界は超能力者に操られてしまった。



しかし、その中でも責任を放棄したごく少数の者たちが、私のような人間である。

責任を放棄した者は富裕層や貧困層が近づくと、浮き上がる紋章を押される。



そういう人間は貧困層からも富裕層からも存在を無視され続け、

やることの制限こそないものの些細なことで文句をつけられ、

それに反抗すればその場で首を討たれてしまう。



私はそこから逃げ、家に引きこもるという行為を続けていた。

もちろん、そのおかげで貧困層や富裕層にはまだ見つかったことがない。


そんな身分制度を作った、世界の支配者をこらしめる?


そんなの馬鹿げている。


命を捨てたも同然じゃないか。
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