Kiss or Kiss
「――はあ…」

また1つため息がこぼれたその時だった。

「うーっ、重い」

大量の書類が歩いてきた。

いや、書類が歩いてるんじゃない。

誰かが運んでるんだ。

そう思った俺は、駆け寄った。

「すみません、半分お運びします」

「…あ、ありがとうございます」

ひょこっと、書類から顔を覗かせたのは女の人だった。

いや、こう言う場合は“女の子”の方が正しいのかも知れない。

黒髪のウェーブ、大きな目、色素の薄い白い肌、ピンクの唇――美しいよりも、かわいいが似合うタイプの子だった。
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