夏のわすれもの
「車を置いてくるから、先に部屋に行っててくれ」

「頼んだぞ、藤堂」

陣内とひまわりが車を降りた。

2人が降りる瞬間を待っていたと言うように、女子社員の声が聞こえた。

そこに視線を向けると、止まっているバスの近くに社員たちがいた。

女子社員たちは指差しながら何かを言っている。

指差している先にいるのは、陣内だった。

何かを言いあう女子社員たちの中には、値踏み――と言うよりも、嫉妬――の視線を向ける者もいる。

その視線は、ひまわりかも知れない。

陣内の隣に俺じゃない人物がいるもんな。

しかも、女である。

その中で、俺はある人物を見つけた。
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