英雄の天意~枝葉末節の理~
「ナ、ナシェリオ」

「下がって」

 いつになく真剣な面持ちの友にたじろぎ、漂う緊張に喉が詰まる。

「弱そうに見えてやるじゃないか」

 まさか抵抗されるとは思わなかった兵士は鎖帷子(くさりかたびら)の傷に驚きつつ剣を構えた。

 踏み込みが甘かったのか、切り裂く力までは無いのか男たちはそれに余裕を見せる。

 金属とはいえ、動きやすくするために軽量化されている鎖の鎧は大いに期待出来るほどの強度はない。

 強く突けば容易く貫けるものだ。

「傷薬くらいは分けてやれる。それで諦めてもらいたい」
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