英雄の天意~枝葉末節の理~
 私はただ──

「ただ、世界を巡りたかっただけだ」

 本当は、父や母のように自分の足で世界を見て回りたかったんだ。

 だが、君と一緒には無理だった。

「君は世界を歩くには優しすぎた」

 私は両親がそうしたように、村を守らなければならなかった。

 そう思っていたけれど、本当は私の意識が外に出ることを拒んでいたのだ。

「外に出ればどうなるか、ドラゴンの件がまざまざと知らしめた」

 それでも、あの村にはいられなかった。

 レイアの気持ちにも気付いてやれず、大切な友を救うことも出来ず、父と母を死なせ、全ての命は私の手からこぼれ落ちてゆく。

 ──私は罪ばかりだ。




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