英雄の天意~枝葉末節の理~
 ひとまずの安堵にニサファは深く息を吐き出し、馬を引いてゆっくりと歩くナシェリオを見下ろした。

 優美に歩む姿を眺め、どうして彼の気が変わったのだろうかと思案する。

 しかれども結論は見い出せず、尋ねてみようかとも思慮したがどう問いかけても答えてくれるとは思えず諦めて星空を見上げた。

 不死といえども、それであの魔獣が倒せる訳ではない。

 ドラゴンを倒した英雄ならば、もしやという期待があった。

 ドラゴンに比べればガネカルなど子犬に等しいのではないか。

 それは、知らない者の甘い認識かもしれない。
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