英雄の天意~枝葉末節の理~
 確かに彼の剣術は優れているかもしれない。

 しかし、腕力で勝るラーファンの力押しに一度も勝てた事がない。

 力負けしているのなら、外にいる猛獣や魔物に適うはずもなく、実用性と考えるならナシェリオは弱いと言える。

「お前は優しすぎるんだよ」

 呆れて溜息を漏らす。

 村のみんなはこの優しい親友を半ば馬鹿にしているが、ナシェリオの強さは自分がよく知っているのだと内心では誇らしく思っていた。

「お前は凄いよ。魔法が使えるんだからな。魔法で攻撃されたら俺は適わない」

「魔法といってもそんなに強いのはまだ使えないよ」

 照れながら応える。

「君の方が凄いよ」

 そう切り返すとラーファンは嬉しそうに胸を張った。



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