英雄の天意~枝葉末節の理~
「ひいっ!? 呪いの丘だ!?」

「抜けている!? 馬鹿な!」

 よもやナシェリオに気を取られ、ここが丘だという事に気がつかなかった男たちは口々に悲鳴を残して逃げてゆく。

「呪いの丘?」

 遠ざかる男たちの影を見送り、手にある剣を見下ろした。

 よく見れば、なんと見事な造りなのかと食い入るように目を通す。

「これは──ミスリルで出来ているのか」

 特殊な金属から生成された刃は、野晒しにされていた事など嘘であるかのように鋭く、青白い微かな輝きを放っていた。

 ミスリル銀とも呼ばれるそれは、美しい銀色の輝きを抱きつつも加工がしやすく軽く非常に丈夫で錆びる事もない。

 採掘される数は少なく高価で貴重な鉱物だ。

 生成する過程で秘めたる力や魔力が決まるとされる。

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