続 音の生まれる場所(下)
「つまんない…」

わがまま言ったり、怒ったりしてくれてもいいのに…。

「無理か…数える程度しか会ってないもんね…」

それも片手で余るくらい。学生以下の付き合いだもん。

「はぁー…」

深い溜め息つく。生まれて初めて経験する花粉症と、付き合い始めたばかりの彼。どちらも持て余すことが多くて困ってしまう。

「…少しずつ前に進めばいいか…」

長い時間離れてたんだ、仕方ない…と、自分を慰める。
でもまさか、この夢がホンモノになるなんて、この時は思いもしなかった。

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