CHERRY
私の初恋は中1の時。

……………………………………………………………………………

「えっ。」

私の手からカバンが消えた。
これって……。
ヤバい‼

「誰かぁー、そいつを捕まえてぇー!」

走りながら叫ぶ。
でも、誰も協力してくれない。

「私のカバン、かえ…せぇーーー‼」

もう我を忘れて走る。
誰か…。

その時。…
ドサッっっ!

え?…ドサッ?

「てめぇ、!」

あっ。私のカバン。
良かったぁ~。
誰か分かんないけど、ありがとうございます~!!

「うっ。離せぇ。」

「うっせー!おいっ!早く警察に連絡しろっ‼」

「は、はい‼」

「もしもし!来てください‼はい。○○のところです‼」

これで安心。
って! 

「あ、あのありがとうございます‼
 おけがとかありませんか?」

「あぁ。大丈夫。そっちこそ大丈夫か?」

「わっ私は全然へい…っ!」

え?足痛い。
そっかひねったんだった。…

「やっぱ、あんた足痛いだろ。」

「え?」

「うち近いから。…ん。」

ん?何でしゃがんでるの?
………っ!おんぶ!?

「いっいいですよ‼私重いし!」

「いい。早くしろっ。」

「あるけますってば。…」

「うぜぇー。…」

「え…。」

ふわっ。
……っ!!!

お姫様抱っこ!?
いや、ヤバい‼ダメだ、これっ!

「だ、だだ大丈夫ですよっ!
 おろしてくださいっっっ!!!」
 
「…。」

「あっ…あのぉ!」

「…。」

「……。あ、ありがとうございます。」

この人、何でこんなに優しいのかな…。
まだ名前も知らない他人なのに…。

でも、何でだろ。
安心する。

「ついたぞ。」

「ありがとうございます‼」

ガチャっ。

「入って。」

「お邪魔します。」

「どうぞ。」


独り暮らしかぁ。
憧れる。

「そこ座って。」

「ありがとうございます。」

「足、見せて。」

「あっ、はい。」

手際いいなぁ。
何か痛み和らいだ感じ。…

「はい。終わり。」

「ありがとうございます‼」

何か、顔見たらカッコいいし。
タイプだ。…

って、私何考えてるの‼

ふー。落ち着いて落ち着いて。

「あの、もう帰ります。」

これ以上いても迷惑だしね。

「待って‼」

「え??」

「もう少しだけいて。……」

何この展開!
漫画によくあるよ‼
あーーーーーわ。
ヤバい‼
それなら…。

「……じゃあ少しだけ…。」


って言ったものの、
何か話さなきゃっ!
ど、どどどうしよぅ!
気まずい。…

そろそろいいかな。

「あのぉー」

「何?」

うっ。冷たい。
負けるな!私!

「もう帰ります。」

「……。」

返事なし…。って事は帰っていいよね?

「今日はありがとうございました。」

「……っ。」

グイッ!

「んっっっ!」


は…い???
唇に柔らかいものが……。
 
・・・・。

えぇぇぇぇ!
き、ききききききキス!?!???


ばっっ!!


「やめて下さい‼」

「やめない。」

「っ!///」

「んっ!…あっ。ふぅ…んっ!」

嫌なのに‼
………嫌じゃない。…

「はぁ。はぁ。はぁ…」

何か初めてのキスが大変なことに…

「…っ。ごめん。」

「あっ。いいです。謝らなくて。」

「もう帰ります。」

「まっ!!!」

彼の声が聞こえたけど私は走って帰った。

……………………………………………………………………………

結局帰ってから、好きだって気づいて、でも遅くて、諦めるしかなかった。




けど、まだ心のどこかで思ってる。




あの人が好きだ。って。…



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