らぶ・すいっち





「そ、そうですか? 今までどおりイヤミは言われていますよ?」


 先ほどテーブルに回ってきたときにだってイヤミ言っていたじゃないですか、とおば様たちに抗議をしたが、誰も肯定はしてくれない。


「そうかしら? なんだか甘い雰囲気しない?」


 するする! と、その場にいたおば様たちが全員頷く。

 盛り上がっているおば様たちをそのままに、私は片付けを急いだ。

 あんまりノソノソしていると、また順平先生にお小言を言われてしまう。
 食器を布巾で拭きながら、私は教壇のところにいる順平先生を見つめた。

 おば様たちにはああは言ったが、確かに順平先生の私への態度は変わったように思う。

 それはあの日。英子先生の誕生日プレゼントを選んであげた次の日からだった。

 いつもどおり土曜日の午後。私は“美馬クッキングスクール”に来て、いつもどおり順平先生の授業を受講をした。
 でも、内心はヒヤヒヤ……イヤ違う。ドキドキしていた。

 仕事場である百貨店で見た、順平先生の笑顔。あれは、ものすごく威力があった。

 あのあと、すぐに後輩がシフトに入ってきたのだが、私の様子がおかしいとかなり心配された。
 大丈夫だと笑うのだけど、「それがおかしい」といって眉を顰めるのだ。



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