らぶ・すいっち





「あ、合田くん!?」
「帰したくないって言ったら、お前はどうする?」
「え……?」


 ギュッと手首を掴まれ、そこから合田くんのぬくもりを感じる。

 高校生の頃、よく合田くんと手を繋いで登下校をしていたのを思い出す。だけど、そのときより大人になり、情熱的になった合田くんを目の前にして、私は固まってしまった。


「なぁ、どうする?」
「え?」
「俺と付き合う気あるか? 俺はお前ともう一度付き合いたい。もちろん高校生のころみたいな子供の恋愛じゃない。大人の恋愛だ……どうする?」
「どうするって言われても」


 突然言われても何と答えて良いのか分からない。それでなくとも今日は色んなことがありすぎた。

 答えを早急に求められても困るというものだ。
 目を白黒させ、この状況についていけない私を、合田くんは真剣な表情で見つめてくる。


「じゃあ、考えろ」
「あのね……すぐにはいそうですか、って結論がでるわけないわよ」


 私の言っていることはもっともだと思う。

 この場で考えて、結論が出る問題ではない。
 久しぶりに出会った元恋人。それだけでも心が乱されるというのに、合田くんはもっと私を混乱させたいのか。

 慌てふためく私は、合田くんから離れようとするのだけど、それは叶わなかった。
 それどころか合田くんは私に近づき、抱き寄せてきた。


< 93 / 236 >

この作品をシェア

pagetop