青い記憶
Fragility

高校に入って2度目の夏を迎えようとしていたある日。



恋も友達も、なんだかんだ幸せな日々を送れていた私は、自分の幸せも、周りの幸せにも、1ミリすら疑いが無かった。



だから、あの言葉を聞いた瞬間は、ただただ大きな衝撃が走った。



「俺さ、美優と別れるかもしれない」



「またまた、なんの冗談」



「いや、がちだって。本当に。いつふられてもおかしくない」



…本当に?



森本くんの表情からすると本当っぽい。だけどあんなにいつもラブラブで、この間も仲良くデート行ってたのに。



「なんで急に?この間もラブラブしてたじゃん」



「別に急じゃないし。喧嘩もしょっちゅうだから。清川だって知ってんじゃん。美優から俺の愚痴聞かされてただろ?」



確かに…そう言われれば、喧嘩も頻繁にするし、その度に美優はカンカンに怒ってたけど…



「だけど喧嘩するほど仲が良いっていうのが2人でしょ?喧嘩してたかと思えばあっさりすぐ仲直りしてるじゃんいつも」



そう、2人の喧嘩は長引いても3日がせいぜい。本当に"喧嘩するほど仲が良い"とはこの2人のための言葉じゃないかと思うくらい。



「いや、別れそうなのは喧嘩が原因とかじゃなくてさ…」



森本くんが話そうとすると先生がやってきて、結局その先の話は森本くんからは聞けなかった。


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