あまのじゃく
16歳4月
高橋千波、16歳。高校1年生の4月。
入学して、2週間位たった頃、いつものように学校にむかうために自転車をこいでいた。

私の通う吹田高校は、坂の上にある。自転車で家から15分だから距離はそう遠くないけど、最後の上り坂が難関でまだ、自転車に乗ったまま学校に着いたことはない。
いつもあとちょっとで、降りてしまう。
中3でバレー部引退してからの運動不足がたたったかなぁ。
まあ、毎日通っていれば、1ヵ月もしたら
自転車を押さずに着くだろうとは思うけど。
そこまで体力ないわけではないし。

そして、いつもの坂道にさしかかる。
ゆっくりこいでいたわたしのすぐ側を余裕の表情で自転車が通りすぎていく。
自転車のラベルの色が違う所を見ると一つ上の先輩だと予想される。

よし、私も今日は少し粘ってみるか!と、いつも降りるポイントで降りずにこいでみた。
案の定フラフラしながら、太ももの筋肉をプルプルさせがらものすごく遅いスピードで足を動かす。早くこぎたいのはやまやまだか、それ以上のスピードは出せない。もう限界なのだ。
いつもより3メートルほどこいだところで、右に左にフラフラしながら、もうダメ!と思った所で左に傾き着地しようとした。

その時だった。
私のフラフラこいでいる後ろに他の自転車が迫ってきていたのだった。
相手は私が自転車を降りるとは思っていなかったみたいで、ぶつかりそうになった。
とっさに急ブレーキをかける音がする。

キキーーーッ!!
ガチャン。
自転車のこすれる音がする。
私は一瞬何が起こったかよく分からなかった。
自転車に後ろから何かがガツンとぶつかった衝撃を感じ、思わずよろめき2、3歩足が前にでた。

痛みは、?

なかった。

後ろを振り向くと知らない男の子が立っていた。

これが私と彼の出会い。



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